特集論文
細胞画像解析用 Web システムの開発とその応用
島津評論 78〔3・4〕 183~192 (2021)
要旨
再生医療・細胞治療の細胞製造工程においては,プロセスパラメーターの影響を非侵襲かつリアルタイムに計測するモニタリング技術の確立が必須で,島津製作所ではこれまでに高速液体クロマトグラフ質量分析計による培養上清中の培地成分および代謝物の計測に着目してきた。一方で,顕微鏡システムによる形態解析も頻用されており,特に機械学習を活用した解析では目覚ましい成果が報告されている。しかしながら,機械学習を用いた解析は細胞培養を行う細胞研究者や培養技術者にとってはまだまだ日常的に使うツールとはなっておらず,学習データの集約や管理に関する作業性も大きな課題となっている。
そこで著者らは深層学習を用いた画像解析とデータの共有・集約・管理も容易な Web システム Cell Pocket™ を開発 した。本稿では,Cell Pocket 開発の経緯とその応用例として間葉系幹細胞の老化に伴う形態変化について定量評価を 試みたので,あわせて報告する。
1分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 細胞事業開発室
2分析計測事業部 技術部 イメージンググループ
3公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 細胞療法研究開発センター
4分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 細胞事業開発室 博士(農学)
5分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 細胞事業開発室 博士(工学)
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。