島津評論 Vol.78[3・4](2021)
特集 先端技術開発

特集論文

核酸抽出システム EluNATM の開発

村松 晃1奥野 颯太2南 貴博3藤原 勢矢4大橋 鉄雄5南元 彩花6熊谷 英郷1

島津評論 78〔3・4〕 163~168 (2021)

要旨

近年,急速に普及している遺伝子検査を支える遺伝子解析技術は,前処理として核酸抽出を必要とする。広く行われているスピンカラム法に基づく核酸抽出は煩雑な分注操作が必要であり,時間と手技を要するうえにコンタミネーションのリスクが伴う作業である。著者らは,疎水性ゲルによる試薬の分画・固定とシリカ磁性体粒子を用いた手段により,習熟を必要とせず,迅速かつ簡便な核酸抽出を提供する EluNA システムの製品開発を行った。核酸抽出を従来の3分の1以下であるわずか10分で完了させることができ,装置の専有面積も小さい。作業者は煩雑な作業から解放され,現場での核酸抽出ワークフローに変革をもたらすことが期待される。


1分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 バイオ・臨床 ビジネスユニット
2分析計測事業部 環境ビジネスユニット
3分析計測事業部 技術部
4基盤技術研究所 バイオインダストリーユニット
5人事部
6分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。