特集論文
X 線透視検査に特化した特徴的な機能の紹介
島津評論 78〔1・2〕 119~123 (2021.9)
要旨
排ガス規制や省燃費に対する意識の高まりにより,自動車の軽量化が重要となっている。かつての自動車には,価格が安く強度を得やすい鉄製の部品が多く使用されていたが,年々これらの部品は軽量なアルミダイカストに置き換わっている。アルミダイカストは,溶かしたアルミをプランジャーとよばれるピストンで金型に高速で充塡し,同形状の部品を大量に生産する技術であるが,しばしば内部に空隙が発生し,強度不足を引き起こす。空隙が表出しているときは,外観検査によりはじくことができるが,内部にあるときは,X 線透視検査による観察が必要となる。以前は,資金に余裕がある大手企業での導入が中心であったが,最近ではエンドユーザからの要請もあり,中小企業からの引き合いも増えている。また,SNS の普及により1件のクレームが拡散され,企業全体の信頼失墜にまで至るケースもあり,品質管理の重要性が再認識されている。本稿では,X 線透視検査に特化して開発した特徴的な機能について紹介する。
1島津産機システムズ株式会社
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。