島津評論 Vol.78[1・2](2021)
特集 産業機器

特集論文

He 供給問題に対応した高感度なリークテストシステムの開発

海野 善夫1

島津評論 78〔1・2〕 67~71 (2021.9)

要旨

高感度,高精度な漏れ試験の一つとして,He リークディテクタが広く産業界に普及している。He リークディテクタはHe ガスをトレーサガスとして用い,試験体から漏れだしたHe を分析管に導いて検出する装置である。He ガスは大気中に含まれる含有量が5.2 ppm ときわめて少なく低バックグラウンドであること,分子直径が小さく微小な孔を通り抜け漏れを検知しやすいこと,さらに毒性や引火性がなく安全であることなどリークテストに使用するトレーサガスとしては最適であり,He ガスの需要は年々上昇している。しかし,He ガスは産出国の90%以上を米国,カタール,アルジェリアが占めており,一部の天然ガス田でしか精製できない希少な資源であるため,供給問題が課題となってきている。He リークディテクタのメーカーである島津産機システムズでは,従来He リークテストシステムも提供しているが,新たに検査に使用したガスを再利用するHe 供給回収システムを開発した。さらにはトレーサガスをH2に置き換えてのリークテストが行えるようユーザーサポートを進めており,今回はこれらの製品の紹介を行う。


1島津産機システムズ株式会社

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。