島津評論 Vol.78[1・2](2021)
特集 産業機器

特集論文

溶融樹脂移送用ギヤポンプSBJ-AA シリーズの開発

千秋 洋之1

島津評論 78〔1・2〕 39~45 (2021.9)

要旨

外接式ギヤポンプの一種である,溶融樹脂移送用ギヤポンプ(以下,重合ポンプ)はケミカルプラントなどの重合設備で使用され,昇圧能力が10 MPa を超える高圧用途を中心に,長期間の連続運転に耐えるための技術的難易度が高く,長年にわたりさまざまな課題克服に取り組んできた。中でもPET(ポリエチレンテレフタレート)用ポンプにおいては,溶融樹脂の温度上昇値を示すΔT(ポンプの入口と出口における温度差)を低く抑えることがPET 樹脂・繊維の製品品質維持に大きく寄与することから,各ユーザーにおいても,重合ポンプの重要な性能評価基準の一つとして認知されている。さらにこのΔT 増加の原因となる重合ポンプ内部での発熱は,樹脂劣化や炭化物の堆積にもつながることから,内部での正常な潤滑を維持するためにも重要な要素の一つであり,重合ポンプの性能改善において最も重要な課題ともいえる。今回,このΔT を低減することを目指し,設計思想を抜本的に見直したSBJ-AA シリーズを開発・上市したので,ここに紹介する。


1島津産機システムズ株式会社

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。