島津評論 Vol.78[1・2](2021)
特集 産業機器

特集論文

質量分析装置向けデュアルインレット型ターボ分子ポンプの開発

眞鍋 雅嗣1

島津評論 78〔1・2〕 3~10 (2021.9)

要旨


島津製作所では,分析・計測装置市場,一般真空産業市場,大学・研究所市場向けに,ボールベアリング型ターボ分子ポンプ(TMP)を開発し,2014年にTMP-B300を,2017年にTMP-B70を発売した。ボールベアリング型TMP の搭載対象である質量分析装置には,複数の真空室が配置されており,各真空室を個別に排気する差動排気系が構成されている。装置のコストダウンや,TMP 故障による装置停止のリスクを低減するため,各真空室にTMP を1台ずつ接続するのではなく,1台のTMP で複数の真空室を排気する構成が主流となっている。この差動排気を可能にするために,複数の吸気口を有するデュアルインレット型(またはマルチインレット型やスプリットフロー型)TMP が用いられている。本稿では,質量分析装置(主にガスクロマトグラフ質量分析装置)向けに開発した二つの吸気口を備えたボールベアリング型TMP であるTMP-BD200について紹介する。


1産業機械事業部TMP ビジネスユニット

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。