特集論文
食の安全を脅かすマイクロプラスチックの分析技術
島津評論 77〔3・4〕 159~164 (2021.3)
要旨
マイクロプラスチックによる河川や海洋の汚染は世界規模で広がっており,生物への影響も懸念されている。近年では世界各国におけるマイクロプラスチックの分布状況など,科学的な知見を得るためのモニタリング調査や研究が盛んに行われている。マイクロプラスチックを対象とする分析において,種類判別は最も基本的な項目の一つであり,一般的にはフーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)が用いられる。FTIR で得られた赤外スペクトルの解析はデータベースとの比較で行われるが,マイクロプラスチックは自然環境下で劣化している場合が多く,標準的なデータベースとの比較では誤った定性を行う可能性がある。この課題を解決するため,劣化したプラスチックの分析に特化したプラスチック分析システムPlastic Analyzer を開発した。本稿では,マイクロプラスチックを分析する一連の流れと,海洋生物および河川から採集したマイクロプラスチックの分析事例,Plastic Analyzer の活用法を紹介する。
1分析計測事業部グローバルアプリケーション開発センター
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。