島津評論 Vol.77[3・4](2020)
特集 食の安全と食による健康

特集論文

GC/MS を用いるビール中代謝成分の網羅測定による品質評価法

武守 佑典1東 祐衣1坂井 健朗2荒川 清美1佐々木 基岐3鈴木 成宗4

島津評論 77〔3・4〕 135~142 (2021.3)

要旨

食品の品質評価の方法は,その食品種/ 調査目的によってきわめて多岐にわたるが,昨今では食品中に含まれる成分を網羅的に分析した後に多変量解析を行うことで,対象食品の傾向を探る評価も広く行われるようになった。本研究では銘柄の異なるビールを試料として,その親水性代謝物を抽出後に誘導体化したものをGC/MS により網羅的に測定し,そのデータを解析することによりビールを識別できることが実証された。また,ビールなどのアルコール飲料は,工場や生産ロットごとに品質に微妙な差が出ることが知られている。本研究ではさらに,同一銘柄のビールに対して,生産工場違いおよび生産ロット違いのものを,同様の手法にて良好に識別することができた。


1分析計測事業部グローバルアプリケーション開発センター
2Shimadzu Scientific Instruments,Inc.
3伊勢角屋麦酒(有限会社二軒茶屋餠角屋本店)
4伊勢角屋麦酒(有限会社二軒茶屋餠角屋本店)博士(農学)

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。