特集論文
島津評論 77〔1・2〕 47~56 (2020.9)
要旨
試料から目的化合物や不純物を分離・精製することは,医薬品の研究開発において不可欠な工程となっており,クロマトグラフにより分離した成分を回収する分取とよばれる手法が最もよく用いられている。超臨界流体クロマトグラフィー(SFC:Supercritical fluid chromatography)による分取は,有機溶媒を移動相として使用する液体クロマトグラフィー(LC)より早く分取作業が完了するという利点を有しており,製薬企業のニ ーズに適合した分取SFC 装置の開発が望まれていた。
アメリカでは,医薬品の研究開発のために必要となる新技術の共同研究を実施するためのコンソーシアム「Enabling Technologies Consortium」(ETC)が12の製薬企業から形成されている。コンソーシアムの利点として,集合的な技術的要求仕様を明確にすることができる点と,共同の評価を実施することで各企業の経済的負担を分散できるというという点が挙げられる。
本稿では,ETC とのセミ分取SFC プロジェクトについて紹介する。また,開発した装置を用いた分取工程の効率化事例についても紹介する。
1Shimadzu Scientific Instruments, Inc.
2分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 LC ビジネユニット
3分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 LC ビジネユニット博士(工学)
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。