島津評論 Vol.77[1・2](2020)
特集 ライフサイエンス

特集論文

細胞コロニーピッキング装置の開発

岡田 光加1武田 明莉2前田 大和2江 柏村3石部 恵子1細野 凌4山本 善丈2江連 徹5井上 隆志4

島津評論 77〔1・2〕 19~24 (2020.9)

要旨

近年,細胞自体を治療薬とする再生医療などの製品開発や,iPS 細胞由来疾患モデル細胞を用いた創薬スクリーニングの発展が期待されている。これらの産業化を実現するためには,高品質な細胞を大量に安定供給するための技術が必要とされている。しかし,細胞を生産する細胞培養の現場では,いまだ多くの手技と,感覚的な判断が潜んでおり,その自動化を阻んでいる。本稿では,細胞培養で日常的に行われる細胞の除去(リム ーブ)および捕集(ピッキング)作業に着目し,液体クロマトグラフのコア技術を水平展開することで,作業の自動化を実現した。また,この技術はiPS 細胞の培養だけでなく,細胞に対するゲノム編集で行われるクロ ーニング工程においても,作業効率の向上に寄与できることがわかった。さらに,作業前後の自動化や画像解析などの機能を拡充することで,培養現場へのトータルソリューションの提供へつなげたい。


1分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 細胞事業開発室
2分析計測事業部技術部
3分析計測事業部 GC・TA ビジネスユニット
4分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 LC ビジネスユニット
5分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 細胞事業開発室博士(工学)

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。