島津評論 Vol.77[1・2](2020)
特集 ライフサイエンス

特集論文

新型コロナウイルス検出試薬キットおよびCOVID-19治療薬の全自動血中濃度測定法の開発
~検査から治療薬開発に向けた臨床研究支援まで~

川上 大輔1小林 慎一郎1井本 英志2高岡 直子1二宮 健二1丸瀬 英明1四方 正光3山本 林太郎1

島津評論 77〔1・2〕 3~10 (2020.9)

要旨

新型コロナウイルスの感染の有無を迅速に確認するために,PCR(Polymerase chain reaction)検査が行われている。現在,国内で行われているPCR 検査の多くは煩雑なRNA 精製作業が必要であり,PCR 検査の拡充を阻害する要因の一つである。この課題を解決すべく,RNA 精製を必要としない新型コロナウイルス検出試薬キットを開発した。また,新型コロナウイルス治療薬として特例承認されたレムデシビル(Remdesivir)の臨床研究を支援するために,検体への暴露リスクが低減できる全自動前処理装置付きLC/MS/MS システムを用いたレムデシビルおよびその代謝物(GS-441524)の一斉分析法を開発した。本稿では,新型コロナウイルス感染症対策に関連した技術として,新型コロナウイルス検出試薬キットの原理や臨床検体を用いた評価結果について紹介する。また,全自動前処理装置付きLC/MS/MS を用いた,簡便かつ安全なレムデシビルとその代謝物の測定法についても紹介する。


1分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 バイオ・臨床 ビジネスユニット
2分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター
3分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 バイオ・臨床 ビジネスユニット 博士(学術)

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。