島津評論 Vol.76[3・4](2019)
特集 医用画像機器

特集論文

放射線治療用動体追跡システムSyncTraX™ FX4 versionの新機能開発

由里 淳1松木 大輔1Frederic Hudon2Michel Dargis2

島津評論 76〔3・4〕 91~98 (2020.3)

要旨

4式のX 線管とフラットパネルディテクター(FPD)を固定配置し,動体追跡だけでなく患者位置決めも可能である動体追跡装置SyncTraX FX4 version に対し,新機能を開発した。従来では4軸のカウチ移動しかできなかったが,6軸のカウチ移動への対応を可能にしたことで,より高精度での患者の位置決めが可能となった。
また,強度変調回転照射(VMAT)時にも動体追跡を可能にしたことで,線量分布の高精度化が実現できる。
さらに,これまで動体追跡時に使用可能な線量率は1200 MU/min(10 MV FFF(Flattering Filter Free)使用時)までと制限されていたが,医療法改正による同時ばく射が可能となったことで,線量率を最大2400 MU/min(10 MV FFF 使用時)にまで拡大でき,治療時間の短縮,および動体追跡用のX 線透視被ばく線量の低減などの改善も期待される。また,テンプレートレストラッキングを可能にしたことで,非球体マーカーであっても変形や回転にかかわらず自動認識して追跡できるので,ワークフローの改善が期待できる。


1医用機器事業部 技術部
2Shimadzu Software Development Canada Inc.

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。