島津評論 Vol.76[3・4](2019)
特集 医用画像機器

特集論文

原発性アルドステロン症における副腎静脈サンプリング支援システムの開発

能登原 大介1前田 見悟2塚本 多矩3

島津評論 76〔3・4〕 61~66 (2020.3)

要旨

原発性アルドステロン症は,二次性高血圧の最も一般的な病態であり,我が国における高血圧症の患者4000万人の約10%を占めると推定されている。この疾病は,副腎からアルドステロンが過剰に産生されることによって,低カリウム血症と高血圧症を引き起こす。全体の約90%に相当し,原因が多岐にわたる本態性高血圧と比較して,心疾患や脳卒中などを合併するリスクが有意に高いとされているが,一方で副腎を治療すれば根治可能な高血圧症であるとも言われている。そのため,このアルドステロンの過剰分泌部位を特定する副腎静脈サンプリングが,重要な検査となっている。本稿では,医療画像処理技術と分析計測技術を融合した原発性アルドステロン症における副腎静脈サンプリング支援システムを開発した。そのシステム構成と特長,医療機器開発における今後の展望を報告する。


1医用機器事業部 技術部
2分析計測事業部 技術部
3分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。