島津評論 Vol.76[1・2](2019)
特集 マテリアル

普通論文

イメージング質量顕微鏡iMScope TRIO™を用いた馬毛髪直接分析による薬物検出法の開発

新間 秀一1瀬瀬 賢2山本 卓志3

島津評論 76〔1・2〕 43~50 (2019.9)

要旨

摂取した薬剤は体毛にも蓄積されることが知られており,体毛が伸びる速さは動物間である程度決まっている。体毛のどの位置に薬物が存在するかを知ることができれば,薬物をいつ摂取したかを知る手がかりとなることから,法医学分野の薬物試料として,現在,尿とともに毛髪が注目されている。毛髪分析の新しい手法として,生体内の化合物の局在を可視化する,質量分析イメージング(MSI)の技術に注目が集まっている。質量顕微鏡iMScope TRIOは,MSIを微小領域で実施できるため,さまざまな分野において活用されており,かつ,活用の分野がさらに拡大する可能性を秘めている。
本稿ではデキサメタゾンリン酸を投与した競走馬のたてがみにおけるiMScope TRIOを用いたMSIにより,薬剤摂取履歴を可視化した例について紹介する。


1大阪大学大学院工学研究科 博士(理学)
2株式会社エクワインレーシング
3分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。