島津評論 Vol.75[3・4](2018)
特集 先端技術開発

特集論文

生物由来試料のサイズ評価に適したフロー型流動場分級デバイスの開発

中矢 麻衣子1老川 幸夫1堀池 重吉1

島津評論 75〔3・4〕 147~155 (2019.3)

要旨

近年,医薬品市場においてバイオ医薬品が売上トップ10の過半数を占めるようになっており,今後も新規のバイオ医薬品によってモダリティが多様化する傾向にある。タンパク質製剤の製造においては多数の品質管理項目が指定されており,免疫原性を示す可能性のある凝集体も管理対象になっている。バイオ医薬品の安全性を担保するために疫学研究が進展しており,これと並行して分析技術の高度化も求められている。管理対象となっていないサイズ0.1~10 µm のSub-visible Particle(SVP)についてもサイズ評価法の確立が期待されている。
本稿では,「次世代バイオ医薬品製造技術研究組合(MAB)」に参画して島津製作所が開発したフロー型流動場分級デバイスについて解説し,本デバイスを用いた試作システムによる生物由来試料への適用例を紹介する。


1基盤技術研究所 バイオインダストリーユニット

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。