特集論文
超音波と光を用いた欠陥可視化技術のインフラ構造物への応用検討
島津評論 75〔3・4〕 95~102 (2019.3)
要旨
プラント,道路,航空,鉄道など社会インフラの維持・管理のためには,定期的な検査により構造物や部材の劣化・損傷を適切に把握する必要がある。近年,構造物の老朽化や検査作業の担い手不足,技能継承の問題を背景として,検査の効率化・省力化を実現する技術のニーズが高まっている。
著者らは超音波と光を利用して対象物の表面付近の欠陥(亀裂,剝離など)を可視化する技術を開発した。
本技術は,超音波振動による微小な変位を光学的に検出し,欠陥による超音波の伝搬の乱れ(不連続)を可視化することで対象物の表面の隠れた欠陥を高感度に検知する。本稿では,本技術のインフラ構造物の検査用途への応用可能性を検討するため,各種試験体や実劣化構造物を用いた検証実験を行い,従来非破壊での検知が困難であった塗装されたコンクリートおよび鋼部材の塗膜下の亀裂を検知できた事例を報告する。
1基盤技術研究所 ロボティクスユニット
2阪神高速道路株式会社
3京都大学大学院工学研究科都市社会工学専攻 博士(工学)
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。