島津評論 Vol.75[1・2](2018)
特集 環境・エネルギー

特集論文

第二世代バイオディーゼル燃料化技術に関する燃料の詳細分析と評価

倉谷 和代1松下 正和1中村 一夫2高菅 卓三1,3

島津評論 75〔1・2〕 23~32 (2018.9)

要旨

従来の廃食油を脂肪酸メチルエステル(FAME)に変換した第一世代バイオディーゼル燃料の課題であった新型ディーゼル車両での適合性不良などを解消するために,公益財団法人 京都高度技術研究所を代表とし産学公の連携により,第二世代バイオディーゼル燃料(バイオ軽油,水素化油)の開発実証試験が平成24年より3年間実施された。
開発実証試験では,原料油を高温接触分解して得られた「分解油」に水素を添加し水素化油とすることにより,FAMEと比べて酸化安定性などが大きく改善され,軽油と遜色ない燃料特性が確認された。さらに実証運行による車両適合性も確認され,性能面および信頼性面において軽油と同等の高品質な燃料である「バイオ軽油(水素化油)」の製造に成功した。
本稿では,廃食油などのバイオ燃料への円滑利用が促進されることを目指し,各種燃料化条件の接触分解・水素化実験により製造された燃料の詳細分析と評価について述べる。


1株式会社島津テクノリサーチ
2公益財団法人 京都高度技術研究所 産学公連携事業本部 バイオマスエネルギー研究企画部
3公益財団法人 京都高度技術研究所(平成24~26年度主任研究員)

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。