島津評論 Vol.75[1・2](2018)
特集 環境・エネルギー

特集論文

環境水中の有機物を正確に測定できるTOC測定技術の開発

能登 紀幸1

島津評論 75〔1・2〕 15~22 (2018.9)

要旨

水中に含まれる有機物の指標には,湖沼,海域等では化学的酸素要求量(COD:Chemical Oxygen Demand)を,河川では生物化学的酸素要求量(BOD:Biochemical Oxygen Demand)が使用される。これらの測定方法は有機物を化学的あるいは生物学的に酸化して測定しているが,完全に酸化できないことなど問題もある。一方,平成15年5月から水道法の水質基準項目として過マンガン酸カリウム消費量(COD相当の指標)に代えて,水中の有機物全てを完全に酸化し測定する全有機体炭素量(TOC:Total Organic Carbon)が使用され始めた。環境関連研究機関の方の中には,水道水同様に湖沼,海域,河川等の環境水でも有機汚濁となる炭素量を直接測定できるTOCを指標に検討する動きが主流になりつつある。
しかし,湖沼,河川の環境水測定では,水中に浮遊する懸濁物質やプランクトンも含めた測定が必要であり,水道水測定にはないTOC測定の問題も指摘されている。本稿では,環境水測定に必要なTOC計の要点を述べるとともに,環境水測定に最適なTOC計を紹介する。


1分析計測事業部 環境ビジネスユニット

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。