島津評論 Vol.75[1・2](2018)
特集 環境・エネルギー

特集論文

新たな気中のナノ粒子数濃度計測技術

奥田 浩史1

島津評論 75〔1・2〕 9~14 (2018.9)

要旨

健康への影響が懸念される気中のナノ粒子数濃度を計測する新しい技術を開発した。これは粒子に電荷を与え,静電気力によって測定電極に吸引し,その粒子が持つ電荷量によって濃度を求める拡散荷電法の一種である。従来の拡散荷電法は粒径の大きな粒子ほど多価帯電になりやすいため,感度に大きな粒径依存性を持っていた。試料ガスの流れと測定電極に捕集するための電界を直交させ,かつ試料ガスの流れ方向に複数の測定電極を配した新しい分級・検出部と,コロナ放電電流を制御することで粒子の帯電量を制御できる新しい電荷調整装置を併用することにより粒径感度依存性を従来の拡散荷電方式に比べ大きく低減することができた。また自動車排ガス計測,大気環境計測に十分な感度の線形性,再現性を有し,高度5000 m相当の圧力でも良好な性能を維持することも確認できた。


1分析計測事業部 技術部

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。