普通論文
島津評論 74〔3・4〕 211~219 (2018.3)
要旨
質量分析計法を用いた一次および二次代謝物分析による,メタボローム解析法が多方面で用いられている。植物の分野では,品種改良や高付加価値生産の評価方法として,メタボローム解析法の応用が期待されている。本稿では植物メタボロームへの応用例と品種評価への可能性を,キク(Chrysanthemum)をモデルとして検討した結果について報告する。 ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS-TQ™8040)およびデータベースパッケージSmart Metabolites Database,ならびに液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS™-8050)を用いて,キクのメタボローム解析を実施した。 GC/MS については,さらにQCサンプルによる補正を加えることで,再現性など精度向上を実現した。 さらに,代謝産物の代謝マップへの投影により,品種や収穫時期など品質に関与する差異検証の可能性を示した。一方,LC/MS については,花色に影響を与えるとされるカロテノイド類(17成分)の一斉分析法を新たに構築した。 本手法を用いることで育種に伴う,主要なカロテノイド代謝経路変化予測や,クラスタリング解析による育種系統解析の可能性を示した。
1分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター
2国立研究開発法人 理化学研究所 環境資源科学研究センター 博士(理学)
3国立研究開発法人 理化学研究所 環境資源科学研究センター
4島津企業管理(中国)有限公司 博士(理学)
5国立研究開発法人 理化学研究所 環境資源科学研究センター 博士(生物資源科学)
6国立研究開発法人 理化学研究所 環境資源科学研究センター 博士(農学)
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。