島津評論 Vol.74[3・4](2017)
特集 センサ・デバイス

特集論文

エンジン筒内高速モニタリング技術の開発

加藤 塁1大寺 文章1田中 豊彦1大石 彰1松田 直樹2村松 尚3勝 秀昭3森谷 直司4

島津評論 74〔3・4〕 161~170 (2018.3)

要旨

昨今自動車の電動化に向けた流れが急速に進んでいるが,少なくとも今後数十年は内燃機関(エンジン)も引き続き利用されていくと予想されている。自然環境への意識の変化や新興国での自動車の利用の増大などを背景に,エンジン性能に対しては出力性能に加え,燃費性能および環境性能への要求がますます高まっている。エンジン制御技術もそのような要求に応じるために高度化・複雑化し,各自動車メーカーもモデルベース開発で効率的にエンジンを中心としたパワートレイン制御技術開発を進める中,エンジン筒内の現象を正確に把握するための計測技術が必要不可欠である。
著者らが開発したエンジン筒内高速モニタリング技術は,高速計測を実現する波長可変半導体レーザ吸収分光法と,過酷なエンジン筒内環境にも適用可能な小型センサプローブとを採用することにより,エンジン筒内のガス温度,CO2 濃度およびH2O 濃度を50 µs という高い時間分解能で測定可能とした。これにより,エンジン筒内の実際の現象をモデルベース開発に活用させることによって,さらなるエンジン性能向上への貢献が期待できる。


1デバイス部 センサ・デバイスビジネスユニット
2人事部 人材開発室
3基盤技術研究所 光技術ユニット
4基盤技術研究所 研究推進室

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。