特集論文
質量分析を用いたバイオ医薬品の
治療薬物モニタリング実現に向けた研究開発
治療薬物モニタリング実現に向けた研究開発
島津評論 74〔1・2〕 101~110 (2017.9)
要旨
モノクローナル抗体医薬の適用は拡大の一途をたどり,近年さらに開発競争は激化し,多くのバイオ医薬品が上市されている。2015年度の抗体医薬市場は約9兆円であり,今後も順調に拡大を続けるものと推測される。抗体医薬はその特異性の高さと副作用の少なさから,治療において積極的に利用されてきたが,一方では治療効果を正確に示す指標開発が遅れている。2000年に入り複数の抗体療法症例において,治療効果と血中レベルの相関が明らかとなったため,薬効指標としての抗体医薬血中濃度の重要性が注目されている。本稿では,著者らが開発したnSMOL法(nano-surface and molecular-orientation limited proteolysis)を用いた分析手法を応用した,抗体医薬において必要とされる治療薬物モニタリング(TDM, therapeutic drug monitoring)について報告する。
1基盤技術研究所 博士(医学)
2基盤技術研究所 博士(学術)
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。