島津評論 Vol.74[1・2](2017)
特集 ヘルスケア

特集論文

PESI/MS/MSによるin vivoリアルタイム・モニタリング法の構築

林 由美1,2村田 匡3横田 佳澄4緒方 是嗣4谷畑 博司4財津 桂6,7

島津評論 74〔1・2〕 19~26 (2017.9)

要旨

探針エレクトロスプレーイオン化法(Probe electrospray ionization, PESI)は,前処理操作が不要かつ迅速分析を可能とするアンビエントイオン化法の一つである。著者らはPESIをタンデム質量分析(MS/MS)と組み合わせることで,前処理を行わずに代謝物(メタボライト)を「そのままの状態」で検出することが可能なインタクト・メタボローム解析法を構築した。本稿では,急性肝障害モデルマウスの肝臓について,PESI/MS/MSによるインタクト・メタボローム解析を応用した例を紹介する。さらに,本手法を麻酔下の「生きたマウス」に応用することで,TCA回路(tricarboxylic acid cycle)構成成分や薬物代謝の変動をリアルタイム・モニタリングした例についても紹介する。


1名古屋大学高等研究院 若手新分野創成研究ユニット in vivo リアルタイム・オミクス研究室 博士(医学)
2名古屋大学大学院 医学系研究科 医療技術学専攻 病態解析学講座 博士(医学)
3分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター
4分析計測事業部 技術部
5分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 MSビジネスユニット 博士(農学)
6名古屋大学高等研究院 若手新分野創成研究ユニット in vivo リアルタイム・オミクス研究室 博士(工学)
7名古屋大学大学院医学系研究科 総合医学専攻 社会生命科学講座 法医生命倫理学 博士(工学)

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