特集論文
新生児マススクリーニングにおける超高速LC-MS/MSの有用性
島津評論 74〔1・2〕 3~9 (2017.9)
要旨
新生児マススクリーニングは新生児から採血した血液を分析し,アミノ酸代謝異常等の先天性異常を早期発見して発症を予防することを目的とした検査で,日本では約30年前から実施されている。ガスリー法やELISAを用いた従来のスクリーニングでは6疾患を検査対象としているが,数年前より,タンデム型(トリプル四重極型)質量分析計を用いて20種類以上の疾患を発見できるタンデムマス・スクリーニングという新しい測定法が世界的に普及しつつあり,日本では2015年から全出生者に対してスクリーニングが実施されている。
本稿では,多検体ハイスループット分析に最適な「Nexera MP」をフロントエンドとして用いた,高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)によるタンデムマス・スクリーニング法について紹介する。従来より少ない注入量でより高速に測定する本手法により,年間10万以上の検体を処理することが可能となる。さらに,今後LC-MS/MSが活用されると考えられるライソゾームにおける酵素活性の分析例についても紹介する。
1分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。