島津評論 Vol.73[3・4](2016)
特集 産業機器

特集論文

真空加圧焼成炉を利用した新規酸窒化物蛍光体の探索

加藤 英樹1佐藤 大典2安永 拓矢2小林 亮3垣花 眞人4磯部 史佳5

島津評論 73〔3・4〕 129~135 (2017.3)

要旨

本稿では,真空加圧焼成炉を用いた酸窒化物の新物質探索を通じた新規蛍光体開発について紹介する。MOx-SiO2-Si3N4系について新物質探索を行ったところ,MOxをCaOおよびCa0.75Ba0.25Oとした場合には新物質形成が確認されなかったが,酸化数が+2と+3,かつイオンサイズが大きく異なるBa2+とY3+を混合させた(Ba,Y)Ox系で三種類の新物質が存在することを突き止めた。そして,これら三つの新物質のうち二つでEu2+賦活により蛍光特性が発現した。合成組成の検討により,これら二つの新物質を高い相純度で得ることに成功した。新物質1は250nm~450nmでの励起により630nmに極大を与えるブロードな赤色発光を,新物質2(BaYSi2O5N)は250nm~450nmでの励起により480nm付近に極大を与える青色発光を示す蛍光体であることが明らかになった。


1東北大学多元物質科学研究所 博士(理学)
2東北大学多元物質科学研究所
3東北大学多元物質科学研究所 博士(工学)
4東北大学多元物質科学研究所 理学博士
5島津メクテム株式会社

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