島津評論 Vol.73[1・2](2016)
特集 バイオミメティクス

特集論文

島津製作所における生物多様性の保全と事業活動

岡野 雅通1

島津評論 73〔1・2〕 83~88 (2016.9)

要旨

昨今,世界的な注目を集めている環境問題の1つとして,「生物多様性の保全」が挙げられている。生物多様性によってもたらされる生態系サービスの享受が失われつつある中,民間セクターの積極的な参画も求められているが,事業活動におけるリスクと機会という側面から,他社との差別化にもつながる課題になろうとしている。電機・電子業界でもワーキンググループが結成されており,行動指針や社員教育用の教材の策定に加え,2010年に採択された「愛知目標」と事業活動との関係性の整理を通じて,その活動を広く展開しようとしている。島津製作所においても,社是と経営理念に基づく環境活動の一環として生物多様性の保全に取り組んできた。これらの活動は「愛知目標」で掲げられている20の戦略目標のうち8つの戦略目標と深く関わっているが,これらの概略と特徴を紹介するとともに,今後の戦略的な取り組みについて検討する。


1地球環境管理室

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。