島津評論 Vol.73[1・2](2016)
特集 バイオミメティクス

特集論文

超多層構造を持つ新光学フィルム「MLF」の
光の入射角度による色評価

祖父江 和樹1杉岡 幹生2

島津評論 73〔1・2〕 77~82 (2016.9)

要旨

帝人デュポンフィルム株式会社が開発した新光学フィルム「MLF」は超多層構造を持つ。この構造はモルフォ蝶の翅を模倣しており,光の反射と干渉によって発色する構造色を実現している。構造色の特徴は,構造による発色のため色素と異なり退色しないことや,見る角度によって異なる色に見えることである。本稿ではMLFフィルムを見る角度によって異なる色の違いを,紫外可視近赤外分光光度計SolidSpec-3700DUVと可変角絶対反射測定装置を用いて評価した結果を報告する。MLFフィルムへの光の入射角度を変化させたときに,透過率スペクトルの変化を確認できた。また,透過率スペクトルをカラー測定ソフトウェアを用いL*a*b*表色系で表すことで,色を数値化するとともに目視での色の変化との相関を確認した。


1分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター
2分析計測事業部 品質保証部

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