島津評論 Vol.73[1・2](2016)
特集 バイオミメティクス

特集論文

ハスモンヨトウ幼虫に対する抵抗性ダイズと毛茸の化学的・物理的特性

中田 隆1木村 有希1山本 卓志2森口 志穂3吉永 直子4森 直樹4

島津評論 73〔1・2〕 29~39 (2016.9)

要旨

生育環境の変動,植物病原菌の感染,植食者の食害など,植物はさまざまなストレスにさらされている。これらのストレスに打ち勝つために,植物は独自の自己防御機構を発達させてきた。本稿では,ダイズの大害虫であるハスモンヨトウ Spodoptera litura 幼虫(鱗翅目:ヤガ科)に対してダイズが獲得してきた抵抗性を,①ハスモンヨトウの吐き出し液により誘導される化学成分,②葉に生えている毛茸(もうじょう,trichome)の硬さの2面から検討した。特に,ダイズ葉中の誘導性代謝物の分布を可視化したイメージング質量分析装置(iMScope TRIO)とダイズ葉の表面に生える毛茸の表面の硬さを測定した走査型プローブ顕微鏡(SPM-9700)を中心に紹介する。


1京都大学大学院農学研究科 応用生命科学専攻化学生態学分野
2分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター
3株式会社島津テクノリサーチ
4京都大学大学院農学研究科 応用生命科学専攻化学生態学分野 博士(農学)

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。