島津評論 Vol.72[3・4](2015)
特集 先端技術開発

特集論文

EPMA-8050Gの開発
─EPMAへのフィールドエミッション電子銃搭載─

藤田 真1坂前 浩2林 広司2

島津評論 72〔3・4〕 179~193 (2016.3)

要旨

SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)では形態観察のみならずEDS(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:エネルギー分散型X線分光器)を用いた微小領域元素分析が広く行われている。しかしその検出感度は低く,WDS(Wavelength Dispersive X-ray Spectrometer:波長分散型X線分光器)を用い検出限界,定量精度に優れるEPMA(Electron Probe Microanalyzer:電子線マイクロアナライザ)での分析が望まれる分野は多い。EPMAの課題はSEMと比べて見劣りする空間分解能であった。微量元素分析には大ビーム電流を必要とするため,微小プローブを形成することが技術的に困難であった。この課題を克服するためFE(フィールドエミッション陰極)電子光学系を搭載したEPMA-8050Gを開発した。本稿では1マイクロアンペアレベルの大ビーム電流での微小プローブ形成というEPMA特有の要求に応える電子光学設計技術についての解説と,EPMA-8050Gによってはじめて可能となった高感度/高空間分解能マッピング分析例の紹介を行う。


1分析計測事業部 技術部 博士(工学)
2分析計測事業部X線/表面ビジネスユニット

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。