島津評論 Vol.72[3・4](2015)
特集 先端技術開発

特集論文

マルチモダリティ対応フレキシブルPET装置の研究開発

大井 淳一1戸波 寛道2古宮 哲夫3古田 雅史1津田 倫明1中澤 誠之1山川 善之1橋爪 宣弥4佐藤 允信1小林 哲哉5北村 圭司1

島津評論 72〔3・4〕 65~72 (2016.3)

要旨

放射線被曝が少なくコントラストの高い融合画像が得られるPET/MRIは設備費を含めると非常に高額となり導入が進んでいない。そこで著者らは既存のMRIやCT等の診断装置と組み合わせ可能な着脱・可搬型のマルチモダリティ対応フレキシブルPETのプロトタイプ機を開発した。検出器は4層のDOI(Depth Of Interaction)構造を有するLu系シンチレータアレイとライトガイドおよびSiPM(Silicon Photomultiplier)アレイで構成され,約500psecのタイミング分解能を有する。円弧形状の二つの検出器ヘッドは個別のCアームに搭載され,撮像目的に合わせ上下,左右配置等の撮像形態をとることが可能である。収集データは不完全投影データのためデータ欠損に起因する画像の劣化が生じるが,TOF(Time Of Flight)情報を利用しさらに最適な再構成処理アルゴリズムを実装することでこれを補った。本装置の特長や物理性能評価について報告するとともに臨床研究にてMRIとの融合画像が得られたので紹介する。


1基盤技術研究所 放射線デバイスユニット
2CS統括部
3基盤技術研究所 光デバイスユニット
4基盤技術研究所 新事業開発室
5基盤技術研究所 データ処理ユニット

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。