島津評論 Vol.71[3・4](2014)
特集 化学工業材料の分析・評価

特集論文

高質量精度MSnと多変量解析を用いた
色素増感太陽電池電解液劣化生成物の解析

合田 隆大1

島津評論 71〔3・4〕 155~162 (2015.3)

要旨

ハイブリッド形LC/MS/MSであるLCMS-IT-TOFを用いて劣化度合いの異なる複数の色素増感太陽電池(DSSC:dye-sensitized solar cell)から採取した電解液のLC/MS分析を行った。LC/MSの各データに対してプロファイリング解析用ソフトウエアProfiling Solutionと多変量解析ソフトウエアSIMCA-P+で解析を行い,劣化度合いの大きいDSSCの電解液に特有の成分を探索した。本手法にて抽出された2成分について組成推定および構造推定を行った。LCMS-IT-TOFはイオントラップ質量分析計と飛行時間質量分析計を組み合わせた構成であり,高い質量精度を保ったMSnデータを取得できる。また,Profiling SolutionはLCMS-IT-TOFの測定データを一度に処理して自動でピーク抽出,および試料間のピーク強度比較を行うことができる。本稿では,DSSCの分析を一例に,LC/MSを用いた化学工業材料の差異解析および劣化生成物の構造推定を行った研究例について報告する。


1分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター

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