島津評論 Vol.71[3・4](2014)
特集 化学工業材料の分析・評価

特集論文

結晶形状の異なるTiO2粉末へのピリジン吸着測定
─ガス吸着とFTIR時間分解測定による評価─

武内 誠治1道下 晃2

島津評論 71〔3・4〕 135~140 (2015.3)

要旨

酸化チタン(TiO2)は複数の結晶構造をもち,光触媒物質としてよく知られている。これら固体触媒の基本的な性能評価にはいくつかの手法が用いられる。ここではガス吸着法とFTIRを用いて結晶形状の異なるTiO2粉末(Spindle型およびCubic型)を評価した結果を報告する。ガス吸着法によるピリジン吸着測定では比表面積が同等である2種のTiO2粉末のうち,Spindle型のほうが総吸着量が多いことが確認できた。また測定温度の異なる吸着等温線においては形状の違いにより異なる挙動が見られた。FTIRを用いた時間分解測定による結果では,ルイス酸点と物理吸着に由来するピーク強度変化に違いが見られ,Spindle型はCubic型に比べてルイス酸点由来のピークが大きく変化し,ルイス酸としての活性が高いことが時間変化の挙動と併せて確認できた。


1分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター

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