島津評論 Vol.71[3・4](2014)
特集 化学工業材料の分析・評価

特集論文

新一体型HPLCシステムおよび拡張検出器による素材分析への応用

岩田 奈津紀1渡部 悦幸2増田 潤一1早川 禎宏1

島津評論 71〔3・4〕 107~113 (2015.3)

要旨

合成高分子のクロマトグラフィー分析としては,主に物質によらず応答が一定となる示差屈折率検出器を用いたGPC分析が行われている。主成分である合成高分子の添加剤にUV吸収を持つ微量成分が含まれている場合には,これらを高感度に検出するため,紫外可視吸光光度(UV/VIS)検出器あるいはフォトダイオードアレイ(PDA)検出器が併用されることがある。これにより,主成分の高分子と微量添加剤を同時に解析可能となり,高分子の分子量分布計算とともに,微量成分のUVスペクトルの確認による定性および検量線に基づいた定量が可能となる。
一体型HPLCであるProminence-iはその拡張機能の一つとして示差屈折率検出器RID-20Aを接続可能であり,かつ30cm長さのカラムを三本まで収納可能なカラムオーブンを備えているため,一定のカラム長さを必要とするGPC分析に適している。さらに,Prominence-iの内蔵検出器であるUV/VISあるいはPDA検出器,およびRID-20Aはそれぞれ光学系とフローセルの二重温度調節機能を有するため,その精密な温度制御により安定なベースラインが得られる。
本稿ではProminence-i,RID-20Aおよびワークステーションの特長を含め,添加剤含有高分子の同時分析例を報告する。


1分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター
2分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター工学博士

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