島津評論 Vol.71[1・2](2014)
特集 センサ・デバイス

特集論文

微量血漿中放射能濃度測定システム

竹内 一平1橋爪 宣弥2大石 彰1明地 将一3北村 圭司2西本 尚弘2藤山 陽一1

島津評論 71〔1・2〕 69~76 (2014.9)

要旨

著者らはPET(Positron Emission Tomography)を用いたマウス等の小動物による薬物動態解析など定量解析における支援ツールである微量血漿中放射能濃度測定システム「µFmPC(µ-Fluidic Micro Plasma Radioactivity Counting system)」を開発した。このシステムは微量の血漿成分を分取せずに,PET定量解析に必要な血漿中放射能濃度が測定できる画期的なものである。微量の血液をCD-Wellと呼ばれる円盤形の樹脂製遠心ディスクの流路に採取後に遠心分離し,光学スキャナ画像から血漿成分の体積情報,イメージングプレート画像から放射能分布を取得し,専用ソフトウェアで解析することによって血漿中の放射能濃度を取得する。これまでマウスは採血量が限られるため放射能濃度時間曲線(Time Activity Curves: TAC)の測定が困難であった。本システムは1流路あたりの採血量が1~4µLと微量なため,最短5秒間隔の採血による精度の高いTAC取得が可能となった。このツールにより病理モデルの豊富な小動物を用いたPET分野研究の加速が期待できる。また現在開発中のCD-Wellへの血液自動分注システムについても述べる。


1デバイス部
2基盤技術研究所
3技術推進部

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