島津評論 Vol.70[3・4](2013)
特集 ライフサイエンス

特集論文

薬毒物分析における超高速LC-MS/MSの有用性

箕畑 俊和1工藤 恵子2臼井 聖尊3志摩 典明4片木 宗弘4池田 典昭2土橋 均5鈴木 廣一5

島津評論 70〔3・4〕 149~156 (2014.3)

要旨

近年,覚せい剤や違法ドラッグ(脱法ドラッグ)の乱用が後を絶たず,また,向精神薬や睡眠薬などの医薬品を用いた犯罪や中毒事件も増加傾向にあり,使用される薬物の種類が多様化していることから社会的な問題となっている。法医学・法中毒学さらには臨床の領域では原因物質の検索・同定が課題となっており,迅速かつ高感度な一斉分析法が求められている。近年,低濃度においても選択性・定量性があり,複雑な前処理を必要としないため時間・費用・実験の煩雑さが軽減されることから,液体クロマトグラフィー/トリプル四重極型質量分析(LC-MS/MS)も用いられるようになってきた。
LC-MS/MS にて多くの化合物を,確実にかつ効率よくスクリーニングし,検出した化合物を迅速に同定・定量するには,スキャンスピードや正負イオン切替時間等のパフォーマンスが重要である。本稿では,トリプル四重極型 LC-MS/MS を用い,簡単で信頼性の高いスクリーニング手法として,多重反応モニタリング(Multiple Reaction Monitoring: MRM)をトリガーにしたプロダクトイオンスキャン(自動 MS/MS,Synchronized Survey Scan)測定メソッドを開発したので紹介する。本メソッドにより,夾雑物の影響を受けないMRMによる高い選択性で確実なスクリーニングとプロダクトイオンによる化合物の構造確認が同時に行えることを確認した。


1分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 MS ビジネスユニット
2九州大学大学院 医学研究院 法医学分野
3東北大学大学院 医学系研究科 社会医学講座 法医学分野
4大阪府警察本部 科学捜査研究所 化学研究室
5大阪医科大学 予防・社会医学講座 法医学教室

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。