島津評論 Vol.70[3・4](2013)
特集 ライフサイエンス

特集論文

糖脂質のLC-MSによる構造解析,ライブラリによる構造検索

鈴木 明身1佐野 邦広1鈴木 實2蔭山 哲也3梅村 佳克3藤分 秀司4

島津評論 70〔3・4〕 133~147 (2014.3)

要旨

糖脂質は細胞膜に存在し,糖鎖を細胞の外へ向けて,脂質部分を膜脂質二重層の外膜へアンカーして存在している。細胞膜は一様ではなく,多種類の微小環境が作られ,膜中に存在している機能性膜タンパク質の足場を形成し,機能発現に絶妙の環境を作りだしていると想像される。この微小環境はマイクロドメインと呼ばれているが,その実態,膜分子の機能に及ぼす影響は十分解析されておらず,今後のライフサイエンスの一課題として残されている。糖脂質はこれまで糖鎖構造に関する構造,機能の解析が行われてきたが,脂質構造も考慮した糖脂質の構造,機能解析が行われてこなかった。LC-MSはこのような状況を打ち破る可能性を提示し始めている。本稿では著者らの行ってきた糖脂質のLC-MS 解析,マススペクトルライブラリの構築,それを用いた構造検索について説明する。


1東海大学 糖鎖科学研究所
2筑波大学大学院 グローバル教育院 ヒューマンバイオロジー 学位プログラム
3分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 MS ビジネスユニット
4分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター

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