島津評論 Vol.70[3・4](2013)
特集 ライフサイエンス

特集論文

メタボローム解析によるヒト多能性幹細胞の品質評価技術の開発

鈴木 崇1末盛 博文2中馬 新一郎3饗庭 一博4中辻 憲夫2,5

島津評論 70〔3・4〕 123~131 (2014.3)

要旨

著者らは,メタボローム解析技術による多能性幹細胞品質評価技術の確立を目的とし,サンプル調製方法の最適化およびガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いた多能性幹細胞メタボローム分析手法の開発を行った。開発した分析手法を用いることで,ヒトES(Embryonic stem)細胞より,解糖系やクエン酸回路など主要な代謝経路を含め,幅広い代謝産物を再現性良く評価することが可能となった。複数の異なるヒトES細胞を対象に,分化/未分化状態における比較メタボローム解析を実施した結果,未分化状態のヒトES細胞と分化誘導細胞では明確に異なるメタボロームプロファイルを示し,メタボローム解析によるヒト多能性幹細胞の品質評価適用の可能性を確認することができた。


1分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 バイオ・臨床 ビジネスユニット 博士(生命科学)
2京都大学 再生医科学研究所 理学博士
3京都大学 再生医科学研究所 博士(理学)
4京都大学 物質─細胞統合システム拠点 博士(理学)
5京都大学 物質─細胞統合システム拠点 理学博士

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