特集論文
精神疾患への近赤外イメージング装置(functional Near Infrared Spectroscopy: fNIRS)計測の応用
─うつ病,双極性障害,統合失調症について─
─うつ病,双極性障害,統合失調症について─
島津評論 69〔3・4〕 321~326 (2013.3)
要旨
島津製作所の近赤外イメージング装置を用いて認知障害に感度の高い言語流暢性課題をタスクとした酸素化ヘモグロビン濃度の変化の測定を行った。被験者は統合失調症31名,双極性障害14名,うつ病39名の患者と24名の健常者であった。両側の前頭前野の酸素化ヘモグロビン濃度の時間経過を平均し,二つのパラメータである積分値(AUC;Area Under Curve)と,重心値(WC;Weighted Center)を比較した。双極性障害を鑑別する場合の感度と特異性は,それぞれ0.71,0.46であった。言語流暢性課題中の統合失調症の前頭葉機能が健常者よりも低下していた。さらに,統合失調症と健常者における最も大きな差が両側の腹外側前頭前皮質で観察された。
1高知大学医学部神経精神科学教室 医学博士
2医用機器事業部 グローバルマーケティング部
3京都大学大学院医学研究科 医学博士
※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。