島津評論 Vol.69[3・4](2012)
特集 先端技術開発

特集論文

誘電体バリア放電を応用したガスクロマトグラフ用新規イオン化検出器の開発

品田 恵1堀池 重吉1内山 新士2武知 亮2西本 尚弘1

島津評論 69〔3・4〕 255~263 (2013.3)

要旨

大気圧非平衡プラズマによる光イオン化法を応用し,新規ガスクロマトグラフ用検出器として誘電体バリア放電イオン化検出器(Dielectric Barrier Discharge Ionization Detector,以下BIDと表記)を開発した。誘電体バリア放電における放電方式による安定性の違い,および放電部内壁からの不純物混入とベースライン出力の関係を明らかにした。イオン化電流を検出する電荷収集部における絶縁体の高温特性とベースライン変動の関係を調べ,適切な絶縁体を選定した。開発した検出器の特性評価を行い,直線感度範囲は約5桁であり,ドデカンに対し水素炎イオン化検出器を上回る1.0pgC/sec以下の検出限界を得た。含塩素化合物・アルコールに対する相対感度は,水素炎イオン化検出器の10倍以上であった。無機ガスに対する出力は,熱伝導検出器と比較し100倍以上のSN比を持つことを確認した。


1基盤技術研究所 マイクロTASユニット
2分析計測事業部 GC・TAビジネスユニット

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