普通論文
散乱X線の理論強度を用いるSnめっき中Pbの蛍光X線分析
─EDXによるRoHS指令元素の蛍光X線分析─
─EDXによるRoHS指令元素の蛍光X線分析─
島津評論 69〔1・2〕 181~188 (2012.9)
要旨
エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)を用いてCd,PbなどRoHS指令元素の分析が行われているが,試料がめっきなど薄膜の場合,定量値が厚さの影響を受けるという問題がある。そこで膜厚測定を行い,その結果を用いて定量値を補正する方法について検討を行った。
Snめっき銅の抵抗端子に対し,検量線法を用いてPb含有量を測定し,さらにファンダメンタルパラメータ法(FP法)によりSnの膜厚測定を行った結果,Pb含有量313.4ppm,めっき厚さ9.1μmと算出された。次にSnめっきの厚さから求めた膜厚補正係数を用いて検量線法による定量値を補正した結果,最終的にPb含有量は272.7ppmとなった。この値は形状の影響を受けないエネルギー分散型微小部蛍光X線分析装置(μEDX)による定量値269ppmとほぼ一致した。
さらに本補正方法をディスプレイ端子,ダイオード端子,座金などに適用し,μEDXの結果と比較したところ,いずれも定量値はほぼ一致し,本法が有効であることを確認した。
1分析計測事業部グローバルアプリケーション開発センター
2CS 統括部材料解析センター
3株式会社島津総合分析試験センター
※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。