特集論文
食品中放射能の高速スクリーニング検査装置FOODSEYEの開発
島津評論 69〔1・2〕 39~46 (2012.9)
要旨
核医学診断用ポジトロンCT 装置(PET 装置)の放射線測定技術を応用し,食品中に含まれる放射性セシウム濃度(1キログラムあたりのベクレル数)を測定し,厚生労働省が定める安全基準を99%以上の確かさを持って下回るか否かを高速に判定するスクリーニング検査装置“FOODSEYE”を開発した。本装置は,極微量の放射能量の測定精度を確保するために,ガンマ線を高感度に検出するBGO検出器,外来放射線に由来するノイズ成分(バックグラウンド)を低減する遮蔽構造,検査物を効率的に搬送するベルトコンベア,および簡易的操作や結果表示を行うタッチパネルから構成される。福島県二本松市にて30kg米袋を対象とした測定精度の検証を行った結果,ゲルマニウム半導体検出器による測定結果と測定誤差の範囲内で一致し,基準値100Bq/kgに対して1検査物につき5秒でスクリーニング検査が可能であることが実証された。本稿では高速スクリーニング検査装置のシステム構成,性能,実証試験結果について紹介する。
1医用機器事業部博士(工学)
2医用機器事業部
3基盤技術研究所
4基盤技術研究所博士(工学)
5基盤技術研究所博士(理学)
6設計技術センター
7ソフトウェア開発センター
※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。