特集論文
航空機空調装置用の電動コンプレッサの開発
島津評論 68〔3・4〕 145~150 (2012.3)
要旨
最近,航空機分野では AEA(All Electric Aircraft)や MEA(More Electric Aircraft)という語句に代表されるように,航空機の電気化の動きが始まっている。島津製作所もこの動きに対応していくため,航空機用空調装置を電気化した際に必要となる電動コンプレッサの開発を進めた。本開発で試作した電動コンプレッサは, 最大25kW の空気圧縮能力を持つ二段遠心圧縮方式で,軸受には動圧ガスフォイル軸受を採用し,IPM(Interior Permanent Magnet =永久磁石埋込型)同期モータで駆動される。電動コンプレッサは,与圧と換気に必要な流量と圧力の空気を,機外から取り込む装置として機能するため,地上から上空まで幅広い条件に対応できることが必要となる。気圧の低い上空での作動では,最大圧力比6.25を実現する一方で,吸気の密度が高くなり昇圧の圧力比が低くなる地上でも作動時の効率が低下しない設計とした。試作品は単体での性能試験と環境試験に加え,空調機器を接続したシステム試験を実施し,要求性能が得られていることを確認した。
1航空機器事業部 技術部 博士(工学)
2航空機器事業部 技術部
※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。