島津評論 Vol.67[3・4](2010)
特集 エネルギー・環境

特集論文

GCMS-QP2010 Ultra における環境負荷低減技術の開発

川名 修一1宮川 治彦1

島津評論 67〔3・4〕 103~110 (2011.3)

要旨

ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)は,食品,環境,法医,ライフサイエンス等幅広い分野で使用されている。一方,GC-MSに対するランニングコストの削減や環境負荷への配慮に対する関心が高まっている。これらの社会情勢を考慮し,キャリアガスと電力の消費量を節減する技術開発を行った。分析時の省エネルギー対応として,分析時間を短縮する Fast-GC/MS 法に必要な高速スキャン制御技術を開発した。本技術を用いた Fast-GC/MS法を尿中の有機酸分析に適用することにより,分析の質を保ち,かつヘリウムガスと消費電力をそれぞれ従来比で90%,66%削減できることを確認した。一方,分析待機時の省エネルギー対応として,分析待機時に不要な電力とキャリアガスをセーブするエコロジーモードを開発した。本機能により,分析待機時のキャリアガスと消費電力をそれぞれ従来比60%,36.5%削減できることを確認した。
本稿では,ランニングコスト削減と環境負荷低減を実現する高速スキャン制御技術とエコロジーモードについて紹介し,それらの技術による省エネルギー効果について報告する。


1分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 MS ビジネスユニット

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