島津評論 Vol.67[1・2](2010)
特集 センサ・デバイス

特集論文

チップカラム搭載型マイクロガスクロマトグラフの開発

松岡 諭史1西野 正憲1叶井 正樹2西本 尚弘1武守 佑典3上田 雅人3小森 亨一4

島津評論 67〔1・2〕 61~69 (2010.9)

要旨

著者らは,MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いてシリコンウェハ上に流路を形成したチップカラムを開発し,さらにチップカラムを内蔵したマイクロガスクロマトグラフ(μGC)装置を開発した。本稿では,チップカラムの加工およびコーティングプロセス,ガスクロマトグラフによる評価結果について述べる。また,チップカラムを搭載したマイクロGC のプロトタイプ機の開発についても述べ,その性能を報告する。5 %フェニル-/95 %ジメチル- ポリシロキサンを液相としてコーティングしたチップカラムを従来のGC 装置で用いたところ,約35000段の理論段数が得られ,それはキャピラリーカラムの理論段数とほぼ同等であった。チップカラムの理論段高さの極小値は,実験値が計算値の1.2倍となり,作製したチップカラムが理論的に予測されたものと近い性能を持つことが分かった。チップカラムをプロトタイプのμGC 装置で用いたところ,理論段数は約35000程度となり,前述の従来のGC でチップカラムを用いた場合とほぼ同等の結果が得られた。


1基盤技術研究所マイクロTAS ユニット
2基盤技術研究所マイクロTAS ユニット博士(工学)
3分析計測事業部GC・TA ビジネスユニット
4分析計測事業部マーケティング部

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。