特集論文
肝機能デバイスの開発
島津評論 67〔1・2〕 53~59 (2010.9)
要旨
著者らは,薬物動態試験などへの応用を目指し,肝機能デバイスの開発を行っている。実用的なデバイスにするためには,数日間肝機能が維持できることが必要であり,そのためにはデバイス内の肝組織が生体に近い状況にあることが重要だと考えられる。
本稿では,生体に近い肝組織をデバイス内で培養するための開発について紹介する。一例目は,デバイス内での共培養系の構築に関し,足場材の選択により組織形成を目指すものであり,二例目はデバイス構造の工夫により生体内の構成に近い状況を作り上げるトライアルである。
現在はまだ開発途中ではあるが,単純な共培養系に比べて高い肝機能の発現を確認した。今後もこれらの研究をベースに,実用化に向けた開発を進める予定である。
1デバイス部光学ビジネスユニット
2東京工業大学大学院生命理工学研究科
3東京工業大学大学院生命理工学研究科博士(理学)
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