島津評論 Vol.66[3・4](2009)
特集 ライフサイエンス

普通論文

EDXRFによるRoHS指令元素の蛍光X線分析

越智 寛友1尾野 成樹1西埜  誠2小川 理絵2市丸 直人3大和 亮介3渡邊 信次3中尾 隆美3

島津評論 66〔3・4〕 257~270 (2010.3)

要旨

現在,島津製作所ではエネルギー分散型蛍光X線分析装置を使って,製品で扱う部品について,Cd,Pbなど,RoHS指令元素のスクリーニング分析を行っている。試料はねじなどの小型部品から,プリント基板などの大型組み立て品まであり,形状や構成などにおいて千差万別である。このため,分析に際しては,まず束ねる,あるいは分解するなどの試料前処理を,次いで主成分ごとに,樹脂,Cu合金,Al合金などのグループ分けを行っている。分析条件,標準試料を決め,種々の試料形状に対応するため,散乱X線モニター法による形状補正も採用した。ほかに装置の校正,管理値に対する定量値の合否判定なども定めている。
今回,この手順に従って,ケーブルなど試料17点(45箇所)を定量分析した。その結果,管理値を超える,または超える可能性のある試料が6点(8箇所)見つかった。一箇所の分析に要した時間は約8分(一部約19分,あるいは約13分)であった。さらに定性分析の結果や除外規定などを考慮して,最終的にZnめっき鋼など,試料5点(6箇所)を要注意としてリストアップした。
本法は蛍光X線分析装置によるRoHS指令元素のスクリーニング分析として,定量精度・正確度,操作性,分析時間などからみて十分実用的であると考える。


1CS統括部 材料解析センター
2分析計測事業部 応用技術部 アプリケーション開発センター
3株式会社島津総合分析試験センター
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。