島津評論 Vol.66[3・4](2009)
特集 ライフサイエンス

普通論文

ICP発光分光分析による医薬品原薬の残留金属触媒分析

谷口 理1河野 慎一1山口 忠行1永田 淳1西根 勤1

島津評論 66〔3・4〕 231~237 (2010.3)

要旨

医薬品原薬の合成に際して,Pdなどの金属触媒が利用されている。これらの金属触媒は薬効成分ではないため,基本的には除去されるが,その残留物は無機不純物として開発段階で評価されることになっており,すでに欧州では,残留金属触媒に関してEMEA(欧州医薬品審査庁)のガイドラインが出されている。ICP発光分光分析法は,前処理の簡便化や多元素同時分析により,残留金属評価の効率化を行うことができると考えられる。今回,ICP発光分光分析装置(島津マルチタイプ発光分光分析装置ICPE-9000)を用い,医薬品原薬のモデル化合物を分析した結果,感度および精度ともにEMEAのガイドラインに示す残留金属触媒の評価に十分であり,さらに有機溶媒を用いた前処理の適用により簡便かつ迅速であることが確認できた。


1分析計測事業部 応用技術部 アプリケーション開発センター
※所属名は論文作成時のものです。

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