島津評論 Vol.66[3・4](2009)
特集 ライフサイエンス

特集論文

組織MSメタボリックプロファイリングの創薬における安全性研究への応用

竹中 重雄1長谷川 美奈2桑村 充3田中 勝啓3小森 雅之4中西  豪5藤分 秀司5

島津評論 66〔3・4〕 195~199 (2010.3)

要旨

創薬,すなわち新薬開発において,新規化合物の安全性を確保することは重要な課題である。一般に化合物による毒性発現の検出とその発現機構解明が開発段階のより早期に得られることは,創薬における開発に有益な情報を提供することができるものである。そのため,病理学や血清生化学などの手法に加えて,ゲノミクス,トランスクリプトミクス,プロテオミクスやメタボロミクスと呼ばれる網羅的解析手法が導入されてきた。特に生体代謝物の網羅的解析手法であるメタボロミクスは生体の最終的反応を示唆するものであり,その創薬の安全性研究における有用性が多数報告されている。加えて,毒性発現機構の解明のため,組織上の病変部位の代謝物を解析する手法である組織MSメタボリックプロファイリングに対する注目が集まっている。本稿では組織MSメタボリックプロファイリングの概要とMALDI-TOF MSを用いて行った化合物投与による毒性発現の検出の事例を紹介する。


1大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 農学博士
2大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 博士(農学)
3大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 博士(獣医学)
4大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 理学博士
5分析計測事業部 応用技術部 アプリケーション開発センター農学博士

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。