島津評論 Vol.66[3・4](2009)
特集 ライフサイエンス

特集論文

複合糖質解析 ─質量分析計の有用性─

中家 修一1

島津評論 66〔3・4〕 173~184 (2010.3)

要旨

生体中には多数のタンパク質や脂質が存在している。これらの多くは,それ単独では十分に機能せず,何らかの修飾を受けることで機能を発揮することがこれまでの多くの研究から明らかとなってきた。特に,これらタンパク質や脂質に糖鎖が結合した状態の分子は複合糖質とよばれ,受精や発生・分化,疾病といった人間の生命活動に深く関わっていることが知られている。この複合糖質の構造解析に用いられる手段の一つとして,近年はタンデム質量分析計や多段階タンデム質量分析計といった複雑な機構の質量分析計が用いられるようになった。本稿では,質量分析計を用いた糖タンパク質,糖脂質の解析を例として,現状どのような情報が質量分析を用いることで得られるのかについて,分析手法の概要とともに解説した。


1分析計測事業部 応用技術部 アプリケーション開発センター
※所属名は論文作成時のものです。

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