島津評論 Vol.66[3・4](2009)
特集 ライフサイエンス

特集論文

NBS解析システムの開発からバイオマーカ候補タンパク質の探索へ

松尾英一1,2渡辺 真1九山 浩樹3安藤 英治4岩佐 進5綱澤 進6西村 紀7

島津評論 66〔3・4〕 161~172 (2010.3)

要旨

新規バイオマーカ開発のため,著者らはトリプトファンを標的とする安定同位体標識法と質量分析法を組み合わせた新規定量プロテオーム解析手法を開発した。その後,本手法に用いる変性剤や濃縮カラムを変更し,また本手法に特に適した新規マトリックスを開発することでさらに改良を加えた。次に,この解析手法をHPLC,自動スポッティング装置,MALDI-TOF型質量分析装置,解析ソフトと組み合わせて,バイオマーカ探索のための総合解析システムを構築した。このシステムを用いて大腸がんや腎がんといった臨床組織サンプルを分析した結果,本システムが新規バイオマーカ候補タンパク質の探索に有用であることが示された。本稿では,これら一連の研究を概説するとともに,今後の展開についても考察する。


1基盤技術研究所 ライフサイエンス研究所 博士(理学)
2大阪大学蛋白質研究所
3大阪大学蛋白質研究所 博士(農学)
4分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 バイオ・臨床ビジネスユニット 薬学博士
5分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 薬学博士
6分析計測事業部 理学博士
7大阪大学蛋白質研究所 薬学博士
※所属名は論文作成時のものです。

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